過剰な除菌で身体にどんな悪影響が生じるの?

近年の除菌ブームで無菌状態が良いものだと多くの方が考えています。ドラッグストアだけでなく一般のスーパーや100円ショップでも菌を除去する類いの抗菌商品が数多く販売され、誰もが手軽に手に入れられることもブームを後押しとなっています。

その反面、本来は健康的な生活を送るためにおこなっている除菌が、頭痛やめまい、さまざまなアレルギー症状の原因が過剰な除菌によって引き起こされているというはなしも聞こえてきます。菌を除去することはからだに悪影響をおよぼすというのは事実なのでしょうか?

潔癖症の人は何のために除菌をするのか

潔癖症の人は「どこの誰だかわからない他人が触れたものには絶対に触れたくない」といいます。家を出た瞬間から恐怖に襲われると感じているそうです。

電車やバスに乗車するときは、顔にはマスク、手には抗菌ハンカチを持って他人の触れた手すりやつり革には自分の肌が直接触れないように神経をとがらせます。潔癖症の方にとって公共交通機関はストレスがたまる乗り物でしかないのです。学校や職場では、自分の利用するデスクや椅子、パソコンのキーボードの除菌を徹底的におこないます。トイレなどは極力使わないように心がけている人が多いようですが、どうしても使わなくてはならない場合は、持参の抗菌グッズで念入りに除菌してからでないと使えないのです。

このように、潔癖症の方は他人が触れた場所を極端に嫌う傾向にあります。他人の触れた場所に自分が触れなくてはならないときにはとことんばい菌を除去しないと気が済まないのです。

また、潔癖症の方は自分の汚れにも敏感になる傾向が強いといえます。すこし手が汗ばんだり汚れが気になったりすると抗菌作用のあるウエットティッシュや石けんで手洗いをしないとストレスがたまってくるのです。食事の直後は念入りに歯磨きをするか口内洗浄剤でうがいをおこなわないと口の中でばい菌が繁殖することや、臭いが気になって気になって仕方がないという方もいるのです。

潔癖症も度を超すと強迫性障害という病気に発展していることがあります。この病気にかかると他人のばい菌が気になるだけでは済まなくなります。

他人に恐怖を感じたり、自分が他人を傷つけてしてしまうのではないかといった不安を感じたりする症状が出る場合があります。自分がきれい好きではなく極度の潔癖症だと自覚している方は、自分の行動を見直し確認すると良いでしょう。

除菌するばい菌は悪者だけじゃない

抗菌グッズが台頭して日本国内は空前の除菌ブームです。グッズを販売するメーカーは大々的に宣伝を仕掛け、その影響でばい菌が悪者あつかいされている現状が見てとれます。テレビなどの大手メディアだけしか目にしない消費者は、販売メーカーの広告宣伝を信じ切って積極的にばい菌退治をおこなっている風潮があります。

手に取って使うものや身につけるもののほとんどは「抗菌」を売りしている商品があふれています。特に肌着や下着などの肌に密着して使用するものや、子どものオモチャなどは抗菌タイプの売れ行きが伸びています。このようなばい菌が悪者あつかいされている風潮で、ばい菌を除去することばかりに目が向いてしまい、私たち人間にとって本来必要な菌まで除去されてしまうことを多くの専門家は懸念しています。

近年の潔癖すぎる生活環境が、アレルギーや皮膚の疾患を発症する原因になっているという意見も聞かれます。抗菌・殺菌成分の入った石けんで手足やからだを洗うことによって、皮膚の健康を維持するのに欠かせない、皮膚常在菌まで洗い流されてしまいます。皮膚常在菌は病原菌が体内へ侵入するのを防いでくれるばい菌です。からだに存在していた皮膚常在菌が失われてしまうと病原菌が体内に侵入するの許してしまい健康を害することにつながります。

抗菌・殺菌成分で除菌する商品の使用はほどほどにして、健康維持に必要なばい菌を除去しない生活環境に改めることが、健康維持につながるといえるでしょう。過剰な除菌ブームを踊らされずに、からだに必要なばい菌が失われない生活環境を見直す必要が今の日本人には必要ではないでしょうか。

特に、小さいお子さん成長過程でばい菌とどう向き合ったかが将来の健康に大きく影響してきます。子どもの頃から潔癖すぎる生活をしていると将来病気にかかっても治りにくい体質になりやすいといわれています。

赤ちゃんが床に落ちているものを口にしたり、ペットをなでた手指をそのまましゃぶったりしながら体内に細菌を取り入れて腸内細菌が増えていきます。さらに成長過程でどろんこ遊びをしたり、他人とふれあって遊んだりすることで、腸内環境や免疫力が強化され病気になりにくいからだがつくられると考えられています。

潔癖すぎる方には受け入れがたいかもしれませんが、そんな方はなぜ潔癖生活を送っているのかを振り返ってからだと共存しているばい菌を取り除く弊害を調べ直す必要があるのではないでしょうか。

除菌をしすぎると生じる悪影響

人間の皮膚や体内には健康維持に必要なばい菌が存在していますが、抗菌・除菌成分が使われた商品を使ってばい菌を落としてしまうとどんな悪影響が生じるのでしょうか。除菌している方は、清潔に保つことを目的としておこないそれが健康につながると考えているかもしれません。「ばい菌がない方が健康には良いにちがいない」という考えはもっともです。

しかし子どもの成長過程では、菌の侵入を妨げてしまうと将来の健康を害することになりかねません。たとえば、赤ちゃんの授乳を例にあげてみます。授乳前にお母さんのおっぱいを拭くのに滅菌精製水をコットンにしみこませてある清浄綿が利用されています。近年は清浄綿でおっぱいを消毒してから授乳するのが一般的になっていますが、この消毒が赤ちゃんの病気に抵抗する学習機会を奪ってしまうと懸念されているのです。

ばい菌を除去するのは、さまざまな病気から身を守ることができますが、成長過程で赤ちゃんのからだが、授乳というもっともリスクが低い状況で、体外から侵入してくる菌をやっつけるチャンスが奪われることが正しいことでしょうか?

このように、除菌のしすぎで生じる悪影響の仕組みは、体内に侵入した外敵(ばい菌)と戦うことで免疫力が強化されるのに除菌をしすぎることで免疫力が強化される機会が失われることがあげられます。

このほかにも、除菌のしすぎで生じる悪影響が考えられます。それは、抗菌・殺菌成分に含まれている化学物質が人体におよぼす影響です。

室内に噴霧する除菌商品を使ったときに、目が痛くなったり鼻にツーンとした刺激を感じたりしたことはありませんか?この成分は、頭痛やめまい、喘息、アトピーなどを発症する原因になる場合もあるのです。

また、直接皮膚に使用するウエットティッシュなどはアルコール分が含まれているとアルコールが蒸発する際に皮膚の水分を奪って肌荒れや皮膚が炎症を起こす原因になるので肌の弱い方は特に注意が必要です。

まとめ

除菌ブームによって悪者あつかいされている「ばい菌」が、じつはからだにとってとても重要なものであることをご理解いただけたでしょうか?

過度の潔癖症で他人の触れたものには一切触れないという方にとっては、ばい菌がからだにとって有益なものだと理解できても、生活スタイルを変えるのは困難かも知れません。

まずは身近な友人とふれあうなどして、自分のために考え方と行動を少しずつ変えてみてはいかがでしょうか。