除菌のしすぎにご用心!お母さんが潔癖すぎると子どもに悪影響が出ることも?

テレビをしばらく見ていると、必ずといっていいほど除菌スプレーや抗菌グッズのコマーシャルを目にします。いま日本は、空前の除菌ブームであるといって差し支えないでしょう。

一昔前にはあまり見られませんでしたが、今や多くの公共施設にはアルコール成分の入ったスプレーボトルや抗菌の設備が整っている場所が増えています。

清潔好きな日本人の性格とこのような時代背景も相まって、子育て中のお母さんの中には子どもが病気にならないようにと、バイ菌退治に血眼になっている方も少なくありません。

しかし微生物や腸内細菌の専門家たちからは、潔癖すぎる子育てに異議を唱える声が聞こえてきます。

子どもに悪影響をおよぼす病原菌だけが菌じゃない

潔癖症の親が増えたことが影響しているのか、保護者の反対によって砂場遊びをさせられない幼稚園や保育園があるといいます。保護者は子どもの健康を考えて砂場遊びに反対しているつもりなのでしょうが、砂場やどろんこ遊びなどから取り込まれる菌は子どもの成長する過程でとても重要なものなのです。

私たちの腸にいる腸内細菌の多くを占める「日和見菌」は、砂場やどろんこ遊びで体内に入った雑菌などが元になっています。子どもの頃に砂や土にいる雑菌に触れることは腸内細菌のバランスを保つ上で重要な「日和見菌」を増やすために必要なことなのです。

さらに、人間の皮膚や粘膜、腸内などには「常在菌」という菌がいて、人間にとって有害な病原菌からからだを守ってくれています。潔癖すぎると、このようなからだにとって必要な細菌までも除去されてしまう恐れがあります。

子どもが帰宅したら母親が「手を洗いなさい」という、ハンドソープのテレビコマーシャルがありますが、その商品は殺菌と消毒で子どもをバイ菌から守るというキャッチコピーがセールスポイントになっています。

このような商品で、1日に何度も何度も手洗いをしていたり、アルコール成分の入ったハンドジェルなどを使用して除菌しすぎたりすると、からだに有害な菌からからだを守っている「常在菌」までもいなくなってしまいます。

「常在菌」がいなくなると、皮膚の潤いが失われて手荒れの原因になったり、アトピーの原因になったりする場合があるのです。

何度も手洗いをする場合は、殺菌・抗菌成分の含まれているハンドソープや石けんを使うのではなく、水道水の流水で汚れを洗い流すだけで「常在菌」を除去せずに清潔な状態を保つことが望ましいのです。

わが子のために、からだを清潔な状態に保つことには賛成ですが、あまり潔癖になりすぎて無菌状態にしてしまうのはかえって子どもに悪影響をおよぼしてしまうのです。

過剰な除菌は子どもの免疫力が低下してしまう?

免疫学の専門家たちからは、子どもが砂場やどろんこ遊びをすることで免疫力が高まるという意見が聞こえてきます。
子どもの頃にさまざまな外敵(ウイルスや細菌)と出会うことで、その都度、外敵に対抗する方法をからだが学習していくのだといわれています。

この外的との出会いによって、外敵に対抗する攻撃方法を学習することが積み重ねられ、自然の免疫力が強化されて病気になりにくいからだを手に入れることができるのです。

免疫力が強化されると、アレルギーになりにくいからだや病気にかかりにくいからだになるのです。ときどき集団で食中毒にかかったというニュースを見聞きしますが、全員が同じものを食べたのにもかかわらず、命を落とす人もいれば軽い症状で済む人がいるのは免疫力の差によるものだといるでしょう。

子どもの健康を考えるのであれば潔癖になりすぎるのではなく、まず命に関わる病気にかからないようにワクチン接種を適切に受けさせることが最も重要です。ワクチン接種さえきちんとおこなっておけば、子どもが有害な雑菌に触れても重い感染症にかかるリスクのほとんどは防げるでしょう。

子どもが病気に負けない打たれ強いからだを手に入れるためには、子どもの頃に純粋培養のような子育てをするのではなく、砂場遊びやどろんこ遊びの重要性を理解して外的に抵抗する体験をさせてあげる必要があるのです。外的に負けない強いからだづくりは、子どもの頃の生活環境にかかっているといっても過言ではありません。潔癖症の親がおこなう純粋培養子育ては、子どもの将来に悪影響が出る可能性が高いのです。

母親の度を超した潔癖症から、自分の孫を抱かせてもらえないという冗談のような本当のはなしがあります。このようなことが実際に起こっているほど、無菌が正しいことという誤解がはびこっています。

企業が除菌・抗菌グッズを売るためにマスコミを利用してブームがつくられている面は否めません。もともと日本人はきれい好きな民族だといわれているので、アッという間に日本全国に広がりました。

あなたに子どもがいて、バイ菌を目の敵にしているという自覚があったら、潔癖症が過剰になっていないか生活を見直してみましょう。間違った知識が子どもの将来に大きな影響をおよぼすことを再認識して、子どものために正しい行動をしてください。

除菌のやり過ぎでハマる落し穴

除菌のやり過ぎは、成長過程の子どもだけでなく大人にとっても悪影響をおよぼすことがあります。

「バイ菌は退治しましょう」というメディアのキャンペーンに毒されて、どこに出かけても目のつくところには抗菌と除菌を意識させる環境がつくられています。知らず知らずのうちにバイ菌に対する罪悪感が植えつけられ、石けんで手を洗い消毒することがあたりまえの世の中になってしまいました。

バイ菌に対して過剰な嫌悪感を抱くあまり潔癖になりすぎることは、精神的には良くないことだといえます。ほんの些細なバイ菌にも過剰に反応しなくてはならない状態を想像してみてください。

抗菌剤の成分が入った石けんで手洗いができないと、落ち着かなくてストレスが溜まるという方も実際にいるのです。また、つり革につかまるのが恐怖だとか、ドアノブに触れないという方のはなしは冗談ではなく実話です。

そういった方のはなしを聞くと、自宅から外に出た瞬間からストレスに襲われるのだそうです。真夏でも手袋をして、他人が触れたものには直接触れないようにしている方もいます。

もともとは、自分自身の健康のために清潔を心がけていたのでしょうが、いつの間にか過剰な潔癖症になってしまい精神的なストレスから体調を崩したり、除菌をしすぎが原因と考えられるアレルギーを発症したりするケースがあるのです。

まとめ

度を超した潔癖症によりバイ菌に対して過敏になりすぎて、抗菌、殺菌、除菌に明け暮れる生活は、子どもにとっても大人にとっても悪影響をおよぼすことにつながります。

昨今の除菌ブームは、商品を売るためにあらゆるメディアを駆使してつくられた面があるということを覚えておきましょう。

生活に必要不可欠な商品は、テレビでコマーシャルを流さなくても売れるものなのです。実際には、それほど生活に必要でない商品だからこそ、連日コマーシャルを流さなければならないのです。

いま、過剰な除菌ブームを、すこし冷静になって見直してみる必要があるのではないでしょうか。